四国一周自転車遍路（95.10.23～95.11.21）
第１２日目＜11月３日（金）窪川町→中村市　57.51㎞＞
　11月に入って、朝は本当に冷える。山間部であることもあるだろうが、夜露が凍っていた。太陽が昇ってくる辺りに山があってなかなか太陽が姿を見せないので、明るくなっても寒い。これほど太陽を待ち遠しく思ったことはない。
　ようやく姿を見せた太陽でテントを乾かして、出発。今日も国道５６号を南下する。窪川市街を出たところで久しぶりに公衆電話から自宅に連絡をした。その時、横をＭ君が走り抜けていった。すぐに追いかけた。彼も昨日は四万十川の河原で泊まったそうだ。初めていっしょに走り、土佐町に入る峠を目指す。彼は登りの弱いようで、わたしがどんどんリードしてしまう。あっさり峠を越え、一気に駆け下りていくと、もう後ろにＭ君の姿はない。下りの途中に地図でチェックしていた「ニュー佐賀温泉」が現れた。温泉に入るつもりで自転車を降り、Ｍ君がやってくるのを待つ。程なくやってきたが、笑顔とともに通過していった。平日の午前中、広い浴室を独り占めしてくつろぐ。
　温泉を後にして、しばらくすると、昨日、須崎で出会った夫婦と再会した。２人は自転車のわたしと再会できたことが不思議だったそうだ。少し前にＭ君が走っていったことを聞き、別れた。大方町の土佐入野駅で昼食をとる。
　昼過ぎに中村市に着いた。時間があるので、先に進むか、中村を観光して中村に泊まるか。考えた末、中村に泊まることにして、観光案内所で宿を取った。チェックインまでには時間があるので、四万十川を渡って、市街地の外れにある「トンボ王国」に行ってみた。この日は祝日なので、家族連れが多い。トンボを始め、トンボの生態に関する豊富な資料が展示されていた。
　この後、テントの防水の弱さを思い出して、ホームセンターで防水スプレーを買って、四万十川橋近くの左岸河川敷に降りた。芝生の上にテントを広げてスプレーをかけた。しばらくして、歩きの男性が河川敷に降りてきて、テントを張り始めた、ここで野宿するのだろうか、気になるので、近づいて声をかけた。四万十川を窪川から歩きとヒッチハイクで下ってきたそうで、今日はここで泊まるとのことだった。「いっしょに泊まりませんか」の一言に誘われて、宿をキャンセルして、３日連続の野宿を決行することにして、彼の隣にテントをはった。Ｍ君も現れたが、わたしたちを確認したら、離れたところにテントを張ってしまった。夕食はＭ君も誘って、３人で食べた。複数で野宿をするのはこの時だけだった。
　今日は祝日、そして四万十川ということで、河川敷にはわたしたち以外にもいくつかテントを見ることができた。日が暮れると急に寒くなってきたので、20時にはそれぞれのテントに入った。21時頃、中学生くらいの子どもたちが近くで騒ぎ始め、気になってしょうがなかったが、いつの間にかどこかへ行ってしまった。