四国一周自転車遍路（95.10.23～95.11.21） |
||||
第１５日目＜11月６日（月）愛媛県御荘町→宇和島市 72.33㎞＞ |
||||
|
朝、明るくなり出した頃、近くで人の気配を感じるようになった。テントの外に出てみると、昨日、予想していたとおり、おじいさんがゲートボールの準備をしていた。続々お仲間が集まってきて、「カンカン」うるさくなってきた。おじいさんたちのゲートボールを眺めながら、朝食をとる。紅一点のおばあさんからミカンをいただいた。８時になると、おじいさんたちは帰ってしまい、わたしも出発の準備を始めた。 今日も国道56号を北に向かって走る。峠を越えて、内海村に入ると、左手に海を見ながら、一気に下る。村役場前を通って、歩行者用内海トンネルを抜けると、断崖上から宇和海を一望できた。そんな爽快感もつかの間、トンネルを出たところで車止めにライトをぶつけてしまい、ライトは完全に壊れてしまった。 由良半島の基部の峠を越えると、津島町に入った。漁港前のスーパーで一休みしていると、南へ向かう自転車旅行者が走り抜けていった。津島町市街の手前で歩き遍路の男性を見つけ、声をかける。いよいよ宇和島市へ抜ける松尾峠越えにかかる。ダラダラと坂を登っていき、松尾トンネルに入る。1700ｍでこれまでの最長。トンネル内は暑く、排気ガスが充満していて、早く抜けたい一心で走る続ける。ようやく抜けて一休みし、一気に峠を下っていく。宇和島方面の道は、やや渋滞していて、気持ちよく車を追い抜いていく。２年前に宇和島を訪れたことを思い出しながら走り、昼過ぎに宇和島駅に着いた。今日は宿に泊まることにして、駅前の観光案内所で予約をしてもらう。 宿に入るにはまだ時間があるので、宇和島市から近い２つの札所を参拝しておくことにする。国道56号と別れ、予土線沿いの道を北上する。断続的な登りが続く。途中、自転車を押して登り、何とか務田駅近くまでやってきた。今日はまだ昼食をとっていなかったので、道路沿いの商店に入った。店のおばさんに「お寺に行くのかい」と聞かれ、柿を勧められた。「自分でむいて食べなさい」と包丁も渡された。わたしは柿が好きではないのだが、せっかくのご厚意なので、皮をむいて食べた。 店を出て、突然現れた遍路道表示に従って、予土線沿いの道を外れて、41番龍光寺へ向かう。龍光寺まで道しるべに従ったが、わたしが持っている地図とは明らかに場所が違っていた。龍光寺は歴史的背景から寺というより神社の雰囲気が強い。参拝者はわたしだけであった。
来た道を戻って、予土線沿いの道で宇和島市に戻る。来たとき登ってきた分、帰りは思いっきり下らせてもらう。下りは自動車と互角で走れる。下りが緩やかになったところで、わたしを追い抜いていったバスを追いかけた。バス停で止まったところで抜き去ると、再び追いつかれることはなかった。宿に入るには、まだ早いので、偶然見つけたコインランドリーでたまった洗濯物を洗った。しかし、大物用だったので、使用料が高かった。洗濯を終え、宇和島駅前の「ビジネスホテル松竹」に入る。フロントのおばあさんにお遍路をしていることを話すと、宿代を500 円負けてくれた。
|
