フェリーの時間に合わせて、宿を出る。港は近かった。
　乗船すると、すでに人がいっぱいで、その後もどんどん人が乗ってきた。これまでフェリーに乗っても、人であふれるという経験がなかったので、面食らってしまった。和歌山までの２時間をテレビを見たり、お遍路さんに話しかけたり、甲板に出たりして過ごした。フェリーは定刻通り和歌山港に到着した。

　ここからお大師さんがいらっしゃる高野山を目指す。国道24号を走って、市街地を抜け、紀ノ川右岸を東へ走る。途中から24号バイパスになり、快調に走り続ける。
　岩出町、打田町、粉河町、かつらぎ町を通過し、途中のガソリンスタンドでもらった地図を頼りに、高野山への道に入る。南海高野線を越えると、次第に山道になっていく。週末で、かつ紅葉が見頃なので、車の交通量が多い。対向車に変な顔をされたり、励まされたりしながら、山道を登っていく。
　今日中に高野山にたどり着くのは無理なので、道ばたの柿売りのおじさんに近くの集落を教えてもらって、そこを目指すことにした。教えられた集落へ行くと、神社があったので、境内にテントを張らせてくれないか頼んでみた。すると、神主さんが「寒いから社務所に泊まりなさい」と社務所に入れてくれた。ストーブ、お菓子、夕食、酒、お風呂を出してくれて、宿以上のサービスを受けてしまい、感謝の言葉がなかった。しかし、神社で飼っている犬にはほえられてしまい、歓迎されなかったようだ。
　

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